IPアドレスの流動性
「IPアドレスの流動性/割り当て地域の変更」では、IPアドレスの使われている場所が変わってしまう仕組みを解説しました。
しかし、IPアドレスの変動は、使われている場所の変化だけではありません。今まで使われていなかったIPアドレスが新たに使われ始めることもあります。
新しく出現するIPアドレスとは
IPアドレスは、ネットワーク上の機器に割り当てられます。そのため、ネットワークが大きくなるに従い、多くのIPアドレスが必要となってきます。
ISPであれば、顧客が増え、今まで使っていたIPアドレスの数では足りなくなった場合、IPアドレスを増やさなけば、それ以上のビジネスの拡大が望めません。
こう言った場合、ISPは、ネットワーク上で使わずに「在庫」として保持していたIPアドレスを使い始めたり、IPアドレスの管理団体から新たに割り当てを受けたりすることで対処します。
新規出現アドレスの調査
単にIPアドレスだけを見ても、そのIPアドレスが新しく使われ始めたものかどうかは判断できません。一例として、日々IPアドレスに関する調査を進めているGeolocation Technologyでは、複数の調査方法を組み合わせて、新規に出現したIPアドレスを発見する取り組みを行っています。
そんな複数の調査方法の1つが「トレースルート(あるIPアドレスに到達するまでに経由するルータの情報を確認すること)」による調査です。
「在庫」となっていたIPアドレスがインターネット上で使われ始めると、そのIPアドレスに対するトレースルートの結果が変化することから、この変化したトレースルートの経路を調査し、データベースの修正を行います。
また、IPアドレスの逆引きを行った結果、ホスト名が変化したIPアドレスを発見することがあります。ホスト名の変化はIPアドレスの使い方や使用者の変化に起因する可能性があるため、これも調査の対象となります。
ちなみに同様の会社が提供している「どこどこJP」というサービスも新規出現アドレスの発見に関わっています。
「どこどこJP」とは、リクエストされたIPアドレスに対し、位置情報・企業情報などを返すというAPIサービスで、昼夜を問わず大量のIPアドレスが問い合わせられています。新規に出現したIPアドレスがリクエストされた場合、そのIPアドレスがデータベースに載っていないことがわかり、これによっても、新規出現を検知することができるという形です。
まとめ
・今まで使われていなかったIPアドレスが使われ始めることがある。
・弊社の品質維持の取り組みとして、新規出現アドレスの調査を行っている。