IPサイマルラジオとは
同じ時間帯に同じ番組を、異なる形式・媒体で放送することを「サイマル放送(simultaneous broadcasting)」と言います。例えば、同じ番組を複数のチャンネルで同時放映することや、地上派とワンセグで同時配信することがこれに当たります。
また、インターネットなどのIPネットワークでの放送は「IPサイマル放送」と呼ばれます。つまり、IPサイマルラジオとは、インターネット上でラジオ放送と同内容のものを配信することを指すのです。
IPサイマルラジオの課題とIP Geolocation技術
多くの民放ラジオ局をサイマル配信する「radiko.jp」の成り立ちを追いながら、IPサイマルラジオの目的と課題を見ていきます。
IPサイマルラジオが望まれた理由の一つとして、都市部を中心として、高層建築の増加・地下施設の普及が進み、ラジオが聴きにくい環境が増えたことがあります。これと並行して、若年層のラジオ視聴者の減少も課題でした。これらを解消するために、地理的条件に左右されにくいインターネットを利用し、PCなどのデバイスで視聴できるIPサイマルラジオの配信が始まりました。
IPサイマルラジオにはインターネットならではの問題点もありました。その中の一つが、「ラジオの配信地域を制限できない」という点です。
本来、ラジオ放送は一定の地域に向けて放送しており、ラジオCMを利用する企業も、ターゲット地域のユーザにだけ届けるものとして広告を出稿します。地域性の高いメディアというラジオの特性が、インターネット配信によって崩れてしまうのは大きな問題でした。
この課題を解決したのが、IP Geolocation技術による地域制限でした。IPアドレスによる位置情報を元にユーザのアクセス地域を判定し、その地域で放送を行っているラジオ局のみ視聴できるよう、エリア制御を行っています。これによって、ラジオというメディアが持つ地域性をインターネット上でも保持することができるようになりったのです。
まとめ
・IPサイマルラジオとは、インターネット上でラジオ放送と同内容のものを配信すること。
・地域性の高いメディアというラジオの特性を保持するため、IP Geolocation技術が使われた。