クラスフルとは
「クラスフル」とは、IPアドレスの割り当て方式の一つです。
インターネットの普及初期、IPアドレスの割り当てはアドレスクラス単位で行われていました。しかし、インターネットの普及に伴い、この方式には問題があることがわかり、現在は異なる割り当て方式(クラスレス)が使われています。こちらについては「クラスレスって?」で解説しています。
クラスフル方式では、IPアドレスは、5つの「クラス」にわけられ、IPv4アドレスの上位ビットを確認することで、区分していました。
クラスA・クラスB・クラスCは、ネットワーク上で使うためのIPアドレスで、ネットワーク部とホスト部の長さがそれぞれ異なります。クラスDとクラスEには、クラスA~CのIPアドレスとは異なる特別な用途が与えられています。
ここではクラスフル方式における、各クラスの割り当てがどのように行われていたのかを解説します。
クラスA
「クラスA」は、ネットワーク部が8ビット、ホスト部が24ビットのIPアドレスです。
クラスAでは、2進数表記時のネットワーク部の先頭は「0」で始まります(10進数では0.0.0.0〜127.255.255.255まで)。使用できるネットワークは全部で126個しかありませんが、それぞれのネットワークに約1600万台のホスト(コンピュータ)を接続することができます。
1つのネットワークにたくさんのコンピュータを接続する必要のある、大きな組織やISP(インターネットサービスプロバイダ)の利用を想定したものです。
クラスB
「クラスB」は、ネットワーク部が16ビット、ホスト部が16ビットのIPアドレスです。
クラスBでは、2進数表記時のネットワーク部の先頭は10で始まります(10進数では128.0.0.0~191.255.255.255まで)。使用できるネットワークは16,384個、それぞれのネットワークに接続できるホストは65,534台となります。
クラスC
「クラスC」は、ネットワーク部が24ビット、ホスト部が8ビットのIPアドレスです。
クラスCでは、2進数表記時のネットワーク部の先頭は110で始まります(10進数では192.0.0.0~223.255.255.255まで)。使用できるネットワークは約209万個で、それぞれのネットワークには254台のホストを接続できます。小規模の組織やネットワークでの利用を想定したものです。
クラスD・E
「クラスD・E」は、クラスA~Cと違い、利用目的の定まった特殊なIPアドレスです。
クラスDは、IPマルチキャスト用のIPアドレスです。2進数表記時の最初の4ビットが1110ではじまり(10進数では224.0.0.0〜239.255.255.255まで)、残りの28ビットがマルチキャストグループアドレスを表しています。
クラスEは、2進数表記時の最初の4ビットが1111で始まるIPアドレスです(10進数では240.0.0.0〜255.255.255.255まで)。クラスEのIPアドレスは実験的な目的のために予約されていて、実際に使われることはありません。
まとめ
・クラスフルとは、IPアドレスの割り当て方式の一つであり、現在は使用されていない。
・クラスフル方式におけるクラスA~Cは、上位ビットの数字によって分けられていた。
・クラスDとクラスEは、利用目的が決まっている特殊なIPアドレスである。