オリンピック配信で活用されたアクセス制御

オリンピックとインターネット配信

2014年冬季ソチ五輪では、 国内民放テレビ局によるオリンピック動画配信サイト「gorin.jp」で競技のハイライト動画やライブストリーミング配信が行われました。

しかし、オリンピックをインターネット上の動画配信サービスで楽しめるようになったのはつい最近の事です。オリンピックのインターネット放送は、2000年のシドニーオリンピックまで、IOC(国際オリンピック)によって謹慎されていたのです。
2002年のソルトレークオリンピックで試験的なインターネット放送が行われ、2004年のアテネオリンピックでは、多数のサイトがストリーミング配信を行いました。

実は、多くの人がインターネット上でオリンピックの動画を楽しめるようになった舞台裏には、IP Geolocation(ジオロケーション)による配信地域制御技術の活躍がありました。

放映権を守るIP Geolocation(ジオロケーション)のアクセス制御

動画配信分野でのアクセス制御や地域制限は、オリンピックなどの世界的なスポーツイベントに端を発していると言えます。これらのイベントをテレビやインターネットで放送する際、「放映権(放送権)」と呼ばれる権利の取得が必要になります。

日本国内のオリンピック放映権は、NHKと民放で組織された「ジャパンコンソーシアム」が取得しています。ソチ五輪・リオデジャネイロ五輪の2大会の放映権は360億円に上るとされています。
放映権は国ごとに別々の組織が取得し、放映できる地域は各国内に限られます。そのため、放映可能地域外からもアクセスできてしまうインターネット上で動画配信を行うことはできませんでした。

この問題を解決したのがIP Geolcoation(ジオロケーション)によるアクセス地域の制御です。先ほど挙げた「gorin.jp」は、日本国外のアクセスユーザに対して動画を配信しないよう、IPアドレスをベースとしたアクセス制御を行っています。

オンライン動画を支えるIP Geolocation(ジオロケーション)技術

オリンピック以外にも、メジャーリーグ、サッカーのワールドカップ、欧州サッカーリーグなど、全世界的に注目を集めるスポーツイベントでも同様に、放映権の遵守を目的にIP Geolocation(ジオロケーション)によるアクセス制御が活用されています。

まとめ

・オリンピックの中継や映像配信には「放映権」という権利の取得が必要。
・インターネット上で放映権を遵守するために、IP Geolocationによるアクセス制御が行われる。
・IP Geolocationによるアクセス制御は、メジャーリーグやワールドカップなどでも使われている。