今回は特別篇として、LIVRAの運営会社「Geolocation Technology」の「SURFPOINT」※というテクノロジーにおける最新アップデートについて解説します。
※IPアドレスと様々な情報を紐づけたIP Geolocation & IP Intelligenceテクノロジー。この「SURFPOINT」は1つのIPアドレスに対し、「位置情報」「企業情報」「環境情報」「その他外部情報」等、100項目以上の情報を紐づけ、ネットトレーサーにより日次更新されています。
今回のアップデートは、
・Organization IP Location Matching
(Wi-Fiアクセスポイントなどの情報に含まれる位置情報から割り当て組織を特定する技術)
・User Attribute Matching
(匿名化された情報や環境情報からユーザ属性を推定し、関連のあるIPアドレスに反映させる)
この2つの技術で「SURFPOINTによって割り出される組織数を増やす※」というものです。
※具体的には、新たに組織数を約40,000社追加し、どこどこJP(SURFPOINTをWebサイト・アプリケーション上で利用できるIP Geolocation技術の流通プラットフォーム)の組織判定数を平均50%程度増加させる結果となりました。
それでは、上記の2つの技術について解説していきます。
Organization IP Location Matching とは
Organization IP Location Matching とは、Geolocation Technologyが収集しているWi-Fiアクセスポイントなどの情報に含まれる緯度経度情報と、組織の所在地から求めた緯度経度情報を組み合わせて、新たに組織で利用する「IPアドレスを特定する技術」です。
▶︎Wi-Fiアクセスポイントなどの情報に含まれる位置情報から割り当て組織を特定する
Wi-Fiアクセスポイントなどの情報には、GPSからの「緯度経度情報」を持つものがあります。その緯度経度情報と、元々保有している組織情報から求めた緯度経度情報の2つを紐づけることで、位置情報から組織に割り当てられたIPアドレスを特定することができます。
上記2つの緯度経度情報が「一致する」と見なす条件は、緯度経度情報が小数点以下4桁の値(約10m四方)で一致した場合のみとしています。また、SSID情報や回線種別情報なども活用し、誤った組織判定が紐づかないようにするなど、蓄積されたIPアドレス分析技術を駆使して、有効な情報を抽出しています。
この技術により、これまで「Whois情報」や「逆引きドメイン」では割り当て組織を特定できなかったIPアドレスに対して、新たに組織情報をつけることが可能になりました。
User Attribute Matching とは
User Attribute Matching(IPアドレスに基づくユーザ属性推定システム)とは、匿名化されたユーザ識別子とIPアドレスのもつ属性を組み合わせ、ユーザ属性の推定を行い、「同一ユーザが利用したと推測されるIPアドレスに対してユーザ属性を付与する技術」です。
▶︎匿名化された情報や環境情報からユーザ属性を推定し、関連のあるIPアドレスに反映させる
まず最初に、インターネットにアクセスしたユーザの属性を判別します。
上図では、匿名化されたユーザ識別子を利用して、ユーザ識別子別にユーザ属性の推定を行っています。一般的に同じコンピュータでインターネットを利用する場合、一意のユーザ識別子が発行されます。そのユーザ識別子とIPアドレスの組み合わせの利用頻度を分析しユーザ属性の推定を行います。
これによりユーザ識別子にユーザ属性を紐付けることができます。
次に上記で作成したユーザ識別子にユーザ属性が紐付いたリストを利用し、同一ユーザが単独で利用したと思われる他のIPアドレスに属性の更新を行います。この時、モバイル回線は更新対象とせず、固定回線判定のIPアドレスのみ更新を行います。
あわせて更新時のルールとして、すでに組織情報が付与してあるIPアドレスに対してはより信頼のおける別手法の判定結果が付与されているため上書きを行いません。
この技術により、これまで組織属性が不明だったIPアドレスに対して組織属性を付与することができるようになりました。また地域判定として都道府県レベルでの判別が不明だったIPアドレスに対し、より正確な地域の判定結果を割り当てることが可能になりました。
※こちらの技術に関しては下記ページで詳しく解説をしています。
リリース情報「IPアドレスに基づくユーザ属性推定システム」特許を取得